上手なお医者さんのかかり方
健康保険は、みなさんで保険料を出し合っている制度ですから、医療費が増えるにつれて運営も苦しくなり、皆様の負担も重くなってしまいます。
必要な人が安心して医療が受けられるようにするとともに、保険料や窓口負担として皆様にご負担していただく医療費を有効に活用するために、医療機関・薬局を受診する際には上手な病院のかかり方を心得ておくと、無駄な医療費を支払わずにすみます。
休日、深夜、時間外の受診には割増料金が掛かることを知っていますか?
医療費は、診療の他に投薬料、検査料、処置料、画像診断料などの組み合わせで決まります。
決められた診療時間以外や休日、深夜に受診すると医療費が加算されるので、急病の時などやむをえない場合を除き出来るだけ診療時間内に受診しましょう。
時間 | 初診時加算額 | 再診料加算額 | |
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時間外加算 |
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850円(6歳未満は2,000円) | 650円 (6歳未満は1,350円) |
休日加算 |
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2,500円(6歳未満は3,650円) | 1,900円 (6歳未満は2,600円) |
深夜加算 |
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4,800円 (6歳未満は6,950円) | 4,200円 (6歳未満は5,900円) |
- *受診者の負担額は、このうちの2割~3割(75歳未満の場合)となります。
★診療所の診察時間内・薬局の営業時間内でも加算がつくことも
加算の種類 | 加算の時間帯 | 加算額 |
---|---|---|
診療所の夜間・早朝等加算 |
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500円 |
調剤薬局の夜間・休日等加算 |
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400円 |
- *受診者の負担額は、このうちの2割~3割(75歳未満の場合)となります。
自宅や勤務先の近くの医院、診療所などにかかりつけのお医者さんを持ち、 気になることがあったら、まずはそのお医者さんに相談しましょう。
体質や、病歴、生活習慣、健康状態などを把握してもらえますし、それに基づいて適切な治療やアドバイスをくれます。
また、待ち時間が大病院に比べて短くてすみます。 かかりつけ医の紹介状をもって大病院に行けば、特別料金が加算されることもありません。
今、とくに病気もなくかかりつけ医もいない、という方は以下のようなポイントからかかりつけ医を探してみてはどうでしょうか。
- 自宅の近くで通いやすいか
- 相性がよく、信頼できるか
- 勉強熱心で情報収集に努めているか
- 病気や治療法、薬などについてわかりやくすく説明してくれるか
- 患者を抱え込まずに、専門病院に紹介してくれるか
治療方針や診断内容に納得できなくて、いくつもの医療機関をまわったことはありませんか?
同じ病気だと同じような検査や投薬が繰り返され医療費がかさむだけでなく体にも悪影響が心配されます。
同じ病院に通う場合 | 転医をくり返した場合 | |
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1回目 | 初診料2,880円(+検査料等) | 初診料2,880円(+検査料等) |
2回目 | 再診料 730円 | 初診料2,880円(+検査料等) |
3回目 | 再診料 730円 | 初診料2,880円(+検査料等) |
合計* | 4,340円 | 8,640円 |
*初診料と再診料の合計額。検査料等を加えると、その差はさらに大きくなります。
*受診者の負担額は、このうちの2割~3割(75歳未満の場合)となります。
- 何回も同じ説明を聞かなければならない
- 同じ検査を何度も受けることになる
- 初診料はその都度必要になる
- 薬もその都度投与される
受けている治療に不安があるときには、まずそのことをお医者さんに伝えて話し合ってみましょう。
また、主治医以外のお医者さんの意見を聞きたいときには「セカンドオピニオン」という方法もあります。セカンドオピニオンはれっきとした診療行為の1つです。迷わずに申し出てみましょう。
ジェネリック医薬品を知っていますか?ジェネリック薬品は特許の切れた新薬と同じ有効成分で製造された薬です。
開発費が掛からない分値段を安くできるため、ジェネリック医薬品を使用すればほぼ同じ効き目で薬代を節約できる場合があります。
●これだけ薬剤費が違います!(安いタイプを利用した一例)
先発医薬品 | ジェネリック医薬品 | 差額 | |
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高血圧症の場合(代表的な薬を1日1錠、1年間服用したと仮定) | 9,899円 | 1,905円 | 7,994円 |
糖尿病の場合(代表的な薬を1日1錠、1年間服用したと仮定) | 7,753円 | 2,233円 | 5,220円 |
脂質異常症の場合(代表的な薬を1日1錠、1年間服用したと仮定) | 11,684円 | 3,011円 | 8,673円 |
※3割負担の場合(年間)
出典:日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会 かんじゃさんの薬箱(令和5年4月)
従来の「分割調剤」制度に加えて、令和4年4月から新しく「リフィル処方箋」という制度が始まったことを知っていますか?
リフィル処方箋とは、“くり返し使用できる処方箋”という意味です。
症状が安定していて、同じ薬を繰り返し処方されている方に対し医師の判断のもとに出されます。※
1枚のリフィル処方箋で最大3回同じ薬を受け取ることができます。
リフィル処方箋を用いることで、通院にかかる時間や、再診料・処方箋料などのお金の負担を減らすことができます。また、結果として医療費の節約の効果も期待できます。
- ※処方箋の「リフィル可」欄に医師のチェックが入っている方が対象です。投薬量に限度が定められている医薬品および湿布薬は対象外となります。
対して、従来制度の分割調剤とは、“定められた処方期間を分割する”制度です。
長期保存が難しい薬剤の場合、後発医薬品をはじめて使用する場合、医師の指示がある場合に行われます。
分割調剤を行うことで、長期にわたる処方の中でも薬剤師による服薬指導の機会が増えるため、効果・副作用の確認や服薬管理を受けながら治療をすすめることができます。
●「リフィル処方箋」と「分割調剤」を比べると…
90日分の薬を投薬するために、30日分ごとに薬局で調剤して交付する場合 | |
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リフィル処方箋 | 分割調剤 |
医師が30日分の処方箋を繰り返し利用できる回数(3回)を記載した上で、処方箋を発行する。 |
医師が90日分の処方箋を発行し、薬局に対して3回の分割指示をする。 |
お薬の処方にもいろいろな方法があります。正しい理解のもと、安心して、かしこく治療が続けられるような方法を選択しましょう。
くわしくは、かかりつけ医や薬剤師にご相談ください。
こんなことにもご注意を
薬を上手に利用しましょう
- ●薬のもらいすぎに注意
薬が余っているときは、お医者さんや薬剤師に相談してみましょう。 - ●飲み合わせによっては副作用が…
お薬手帳を有効に活用して、いま処方されている薬をお医者さんや薬剤師に伝えて、飲み合わせに注意しましょう。
お薬手帳の詳しい活用ポイントについてはこちらをご参照ください。
あわてて病院にかけ込む、その前に
いますぐ受診する必要があるのか、平日の時間内の受診でも大丈夫なのか、子ども医療電話相談(#8000)や、救急安心センター(#7119)に電話して相談してみましょう。
- ●子ども医療電話相談(#8000)では、小児科の医師や看護師から症状に応じたアドバイスが受けられます。
※利用できる時間はお住まいの自治体によって異なります。
https://kakarikata.mhlw.go.jp/kakaritsuke/8000.html - ●救急安心センター(#7119)では、救急車を呼んだほうがいいのか、病院へ行ったほうがいいのか、緊急性の判断や応急手当のアドバイス、医療機関の案内などが救急隊経験者や看護師から24時間受けられます。
※救急安心センター事業は一部地域で実施しています。
https://kakarikata.mhlw.go.jp/kakaritsuke/7119.html
- からだに異変を感じたとき、子どものようすがいつもと違うなどなど、症状について少しでも知識があれば、適切に対応することができます。
こんなときは迷わず救急車を
突然死する原因には、おもに心臓発作と脳卒中があります。
つぎのような症状がある場合には、ためらわず救急車を呼びましょう。
- 胸の真ん中の強い痛み(痛みが強くない場合もある)
- 肩や腕、あごにかけての痛み(痛みがあまり強くない場合もある)
- 胸が締めつけられるような圧迫感(痛みがあまり強くない場合もある)
- 息切れ
- 冷や汗
- 吐き気
- 立っていられない
- 体の片側に力が入らない、しびれを感じる
- ものが見えにくい
- ことばがうまく話せない
- 反応がない
- 今までに経験したことのないような(バットで殴られたような)強い頭痛